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Communications
Japan industry
association


平成18年2月10日発行
第33巻第2号
   

YOKOHAMA JPN
Photo Restoration Service &Retouching Service

 
       
             
       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会

 修復のプロに聞く

 写真修復はソフト操作の技術面はもちろんのこと素質・感受性が重要になる。

 とがわさんが写真修復を始めたきっかけは、5年程前に友人の祖父の半壊した古い写真を復元したのが始まりだった。「破れ、シミ、色落ちなどを一週間ほど掛けて元通りにしたのですが、その時に、肉眼で感知できない写真の潜在情報(陰影)が生きていれば、それをコンピュータで読み取り、修復するベースができるのだと知りました」とのこと。
  それを機に、ボランティアとして知人からの依頼を受けていたが、やがて、叔母から世の人のためになる仕事だから、本格的に始めてみてはどうかと打診され、フォトクリニカとしてWebサイトを立ち上げ、写真修復の依頼を受けるようになった。
  とがわさんは、大手デザイン会社の浜野商品研究所を退職後、3Dコンピュータグラフィックスを独学で習得し、デジタル映像制作やマルチメディアデザインなどのCG系デザインディレクションの仕事をこなしてきた。だから、PhotoShopなどを使った写真修復が可能となった。
  「写真修復で主に使用しているソフトはPohotoShopとPeinter、時にはShade(3D)を使用します。ソフトを使いこなせる技術は言うまでもありませんが、大事なことはむしろ素質や感受性です」という。ややもすると、デジタル技術による写真修復は、スキャナで取り込んだ写真を自動処理するだけの簡単な作業と思われがちであるが、実際は部分的にクローズアップさせて、アンバランスになった写真の色や明暗個所、歪みなどを分離し、光学的に補正し本来の光や影を作り出して、できるだけ撮影された当時の写真にしていく大変根気のいる作業である。仕上げるには、ペンタブレットを使用し、輪郭調整や色褪せた個所の加筆修整も行うため簡単ではない。
  実際に作業すると、想像以上に時間を要し、満足のいく写真にするためには、かなりの技能を持ち合わせた職人的あるいは芸術的な素質が求められるのである。
  ホームページを開設してから、全国各地から仕事の依頼が入り受注が多くなると、1人で行うキャパに限界が出てくるようになる。そこで同様の技術を持っている仲間に仕事を出すこともある。「クライアントに紹介する際は、自分の裁量で行いますから、当然自分が責任を負うことになります」という。

 テスト作業で修復が可能かどうかの
 判断を行い、納得した上で取り掛かる。

 写真は直接クライアントが持参するケースが多いとのこと。「それだけ写真修復は依頼者にとって切実なものであり、尊いわけです」。とがわさんは、仕事を受ける場合、できるだけその写真の撮られた背景や状況などの情報を収集している。また、依頼してきたクライアントの写真に対する想いを聞くことで、より良い仕事をしようという心構えを持つことにもなるからだ。
大事なことはクライアントとの信頼関係である。実際の写真を見て、どの程度の修復にするのか。修復する部分や範囲、修復方法について納得してもらうことが重要だと考えているからである。できるだけ希望に応えることにしているが、元の写真とかけ離れたものになるほど作り込むことだけは避けているという。
  実際の作業は、簡単なものでも数日を要し、難しいものになると10日以上掛かるとのこと。ただし、10日要したからと言って、その日数分の費用を請求することはできないのが現状だ。「もちろん、責任のとれる変動のない料金を提示しますが、実際は料金よりも修復した写真の完成度が重要になります。自分で納得できなければ作業を中断し、料金は一切受け取らないことにしています」という。
  とがわさんの仕事のスタイルは、最初に写真をスキャニングし、パソコンに取り込んで、ある程度の修復作業を行って見積もりを出している。クライアントに見積もりを見せてこのまま進めるかどうかを打診するのであるが、このようなテスト作業は単に見積もりを出すためでなく、とがわさん自身が納得できる修復ができるかどうかを判断するためでもある。
  実際に作業に取り掛かかってからも、クライアントへ作業の進捗状況を文書もしくは口頭で画像を添付し逐次報告している。作業を始めると、普通なら写らない物が写っていたりするため、それをどう処理するかの判断を仰ぐわけである。また「背景や関係ない部分で修復する必要はないと思う部分は、時間も掛かりますし料金も高くなるという理由を述べて、クライアントの理解を得て修復を省くようにしています」。
  白黒写真であると、光と影で構成されているため、修復作業の取っ掛かりは破損した箇所や濃淡が崩れた箇所をレイヤーに分割し、光の微妙な違いを判別していく。わずかな光の誤差から元の写真の光と影を推測し、光が当たっている部分はよりクリアに、影の部分はより影らしくデジタル処理していくわけである。つまり、明暗のコントラストをつけることでくっきりとした写真に仕上げるという。「何層にも分けたレイヤーを作って一版一版修正していく感じになります。白黒写真のレイヤーは最低でもでも40版くらいに分けていきますから…」と、非常に手の込んだ作業を行っている。

 デジタル化になっても、結局は人の
 眼が判断するアナログの世界である

 実際の修復作業では「鋭角に見えるものは鋭角にし、鈍角に見えるものは鈍角にする必要があると思います。鋭角な物とは眼鏡などの人工物のことで、そういうものはくっきりと見えるようにします。また、鈍角なものは人の肌などになり、そういうものはあまりくっきりする必要はありません。つまりモノの特性に合わせて、見え方を修復していくわけです」と説明する。
また作業においては、写真を顔や身体、背景などを切り抜いて個別に作業し、後で貼り合せて完成させる方法を採っている。「昔の集合写真は照明や撮影機材が甘く、1人1人のコントラストが異なって写ることが多いので、別々に分割して作業する必要があるわけです」と、決して一括処理することはない。
  写真修復を本業とするならば、その市場は大きく、需要が尽きることはない。「人のためというやりがいのある仕事だと思います」とのことだ。デジタル技術は進展しているが、実際に作業を行い、商品の良し悪しの判定をしているのは人である。だから、結局アナログの世界なのだと強調するとがわさん。
  「デジタル技術で写真を拡大して小さな粒子を修復したところで、最終的には元の大きさにして人の眼で見るわけです。かと言って手を抜いてしまうと、それなりのものにしか見えず、全体のクオリティに影響が出るわけです。人の眼の不思議なところは、本質を見抜く力なのです。ですから、いくら作業がデジタルになっても、人が見る以上、アナログの世界ということになるわけです」と、そして、技術というのは本物らしく見せるための手段でしかないという。
現在、修復の仕事は企業からの依頼もあるが、クライアントの多くは個人が多い。「皆さん写真への思い入れがあり、修復を切実に願っている方ばかりですから、こちらは料金も完成度も含め、親身になって対応していかなければなりません」と心構えを述べ、今後も続けていくという。

(藤川 章/エイブル)



   
   

   

フォトクリニカ/写真修復修正
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